日本食回帰

ベルツ博士の飛脚の食事に関する研究は、明治時代の日本の食生活が西洋の食文化とは大きく異なるにもかかわらず、優れた身体能力を支えていたことを明らかにしました。この研究には、当時の西洋食と比較したエピソードも多く含まれています。

ベルツ博士の視点と西洋食との比較

1. 炭水化物中心の日本食と肉食中心の西洋食

• 西洋では当時、健康とスタミナを維持するには「肉を中心とした高脂肪・高タンパク質の食事」が必要だと考えられていました。

• 一方、日本の飛脚の主食はほぼ白米、味噌汁、漬物というシンプルな構成でした。ベルツ博士は、これだけ質素な食事で、長距離を走る飛脚が驚異的な体力を発揮することに衝撃を受けました。

2. 飛脚の体力と白米のエネルギー効率

• 飛脚の1日の食事は、白米を中心にした約3000〜4000kcalを摂取していたと推測されています。この食事は炭水化物中心で、即効性のエネルギー源として適していました。

• ベルツは「白米と少量の味噌汁、漬物だけで、ヨーロッパの肉食労働者以上の体力を発揮することは、西洋の食事理論に反する」と記録しています。

3. 塩分と発酵食品の重要性

• 日本では塩分を味噌汁や漬物から摂取し、発酵食品が胃腸を整える役割を果たしていました。

• 西洋では塩分補給は主に塩そのものや肉の保存に頼っていましたが、日本食の自然な調味料から摂取する方法をベルツは「合理的で健康的」と評価しました。

4. 「肉食 vs. 米食」の議論

• ベルツは「ヨーロッパ人の肉中心の食事が日本人の体に適していない可能性」を指摘。特に、飛脚のような長時間の持久力を必要とする職業では、肉食がエネルギー効率の面で劣ると考えました。

• 飛脚の持久力は「消化吸収の速い炭水化物(白米)」が主な理由と分析。これにより、エネルギー補給がスムーズに行われたとされています。

具体的なエピソード

1. 飛脚の体力測定

• ベルツ博士が観察した飛脚の一人は、1日に約50〜70kmを走破。彼が食べた食事は白米と味噌汁、漬物という非常に質素なものでした。

• 一方、同時期に肉を食べて働く西洋の労働者の体力や持久力は、飛脚に及ばないと感じたベルツは「食事構成だけでこれほどの違いが出るのか」と驚きました。

2. 飛脚と西洋兵士の比較

• 当時、日本に駐在していた西洋の兵士たちは高カロリーな肉食を取っていましたが、持久力では飛脚に及ばず。ベルツはこの違いを「エネルギー供給源として炭水化物がいかに優れているか」の証拠と考えました。

3. 日本人の食事の影響

• ベルツ博士自身が試験的に「白米を中心とした日本式食事」を一定期間実践したところ、持久力や体調の良さを実感したと記録しています。この経験を通じて、日本の食文化が持つ優れた栄養価を再認識しました。

研究が示す現代への影響

1. 持久力スポーツへの応用

日本の飛脚の炭水化物中心の食事は、現在のスポーツ栄養学で「カーボローディング」として活用されています。マラソンやトライアスロンなどの前に炭水化物を多めに摂取する理論は、飛脚の食事スタイルに通じるものがあります。

2. シンプルな食事の重要性

西洋の肉食偏重に対し、日本の食事が示した「自然食材を活かしたシンプルさ」は、現代の健康志向においても見直されています。

3. 発酵食品と電解質補給

飛脚の味噌汁や漬物からの塩分補給は、現代のスポーツドリンクのような役割を果たしていました。この知見は日本食の価値を再評価する基礎となりました。

まとめ

ベルツ博士の研究は、日本の伝統食がいかに効率的かつ健康的かを証明しました。飛脚の驚異的な体力は、西洋の「肉が優れた栄養源」という固定観念を覆し、炭水化物や発酵食品の重要性を示す貴重な事例です。明治時代の飛脚の食事スタイルには、現代人の食生活にも応用できる知恵が詰まっています!