妊娠中の運動、どこまでが安全か。
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ALTERR REPORT
妊娠初期・中期・後期、
それぞれに
答えがあります。
━ 産婦人科ガイドラインに基づく時期別指針 ━
ACOG(米国産婦人科学会)/日本産科婦人科学会/WHO 等
母体と赤ちゃんの健康を守る、運動強度のレポート
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はじめに|重要なお知らせ
| ▲ 必ずお読みください本レポートは、産婦人科の各種ガイドラインや学会発表をもとに作成された一般的な情報提供です。妊娠中の体の状態は、お一人おひとり大きく異なります。本レポートの内容に従って運動を始める前に、必ず妊婦健診の主治医にご相談ください。妊娠経過に異常が認められる場合(前置胎盤、切迫流早産、妊娠高血圧症候群、頸管無力症、重症の貧血、多胎妊娠、心疾患・呼吸器疾患の合併など)は、運動を行わないでください。運動中に出血、激しい腹痛、めまい、息切れ、胎動の減少などの症状が現れた場合は、ただちに運動を中止し、医療機関を受診してください。 |
妊娠が分かったあと、多くの女性が抱える疑問のひとつが「運動はしてもいいのか、どこまでなら大丈夫なのか」というものです。
インターネットを検索すると、「妊娠中は安静第一」と書かれた記事もあれば、「適度な運動は推奨される」と書かれた記事もあります。どちらが正しいのでしょうか。
結論からお伝えすると、米国産婦人科学会(ACOG)、日本産科婦人科学会、世界保健機関(WHO)はいずれも、合併症のない妊婦さんに対して、適切な強度での運動を「推奨」しています。重要なのは、時期によって「適切な強度」が変わるということです。
本レポートでは、妊娠初期・中期・後期それぞれの時期に、どの程度の運動が安全で、どんな種類が望ましいのかを、産婦人科の文献をもとに整理してお伝えします。
ALTERR BODY MAINTENANCE ROOM
代表 渡辺 将太
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第1章 なぜ妊娠中の運動が、推奨されるのか
── 母体と赤ちゃんへのメリット
世界の主要ガイドラインの結論
近年、妊娠中の運動に対する考え方は大きく変わりました。かつては「妊娠中は安静が第一」と考えられていましたが、現在では真逆の方針が主流です。
ACOG(米国産婦人科学会)の2020年委員会意見書では、合併症のない妊婦は妊娠前・妊娠中・産後を通じて有酸素運動と筋力トレーニングに取り組むべきと明確に述べています。
日本においても、産婦人科診療ガイドライン産科編2020・2023で、有酸素運動が好ましいとされ、転倒や接触の危険がない運動であれば実施可能であることが記載されています。
WHO(世界保健機関)も、禁忌のない妊娠中および産後の女性には、強度が3メッツ以上6メッツ未満の身体活動を週7.5メッツ・時以上行うことを推奨しています。これは、中強度の有酸素運動を週150分以上に相当します。
運動がもたらす、研究で確認された効果
WHO・ACOG・各国産科婦人科学会の文献を統合すると、適切な妊娠中運動には次のような効果が確認されています。
| ✓ 妊娠中の運動の主なメリット・妊娠糖尿病の発症リスク低下・妊娠高血圧症候群・子癇前症の予防・過剰な体重増加の抑制・腰痛・便秘・むくみの軽減・帝王切開分娩リスクの低下・産後の回復が早まる・メンタルヘルスの改善(不安・抑うつの軽減)・出産時の体力・スタミナの維持 |
逆に、運動不足になると、過剰な体重増加・妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群などのリスクが上昇することが分かっています。「動かない」ことが、必ずしも「安全」ではないのです。
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第2章 運動強度を測る、3つの方法
── 「中強度」とは、どのくらいか
ガイドラインでは「中強度の運動」が推奨されますが、これは具体的にどのくらいの運動を指すのでしょうか。客観的に運動強度を測る方法は、主に3つあります。
方法1:心拍数で測る
カナダの妊婦運動ガイドラインでは、年齢別の推奨心拍数が示されています。
| ◆ 妊娠中の推奨心拍数(カナダガイドライン)・20〜29歳:135〜150回/分・30〜39歳:130〜145回/分・40歳以上:125〜140回/分 |
ACOG 2020ガイドラインでは、年齢から予測される最大心拍数の60〜80%、通常140回/分を超えないことが推奨されています。スマートウォッチや胸ベルト型心拍計があれば、簡単にチェックできます。
方法2:会話テスト
最も簡単で、機器が不要な方法です。「運動中に無理なく会話ができる状態」が、中強度の目安。歌は歌えないけれど、会話はできる──このくらいが理想的です。
息切れがして会話が途切れるようなら、強度を下げる必要があります。逆に、楽に歌が歌えるようなら、もう少し強度を上げても大丈夫です。
方法3:ボルグスケール(自覚的運動強度)
自分が感じる「きつさ」を数字で表す方法です。ACOG 2020ガイドラインでは、妊婦の運動はボルグスケール12〜14(やや楽である〜ややきつい)が推奨されています。
| ◆ ボルグスケールの目安・11:楽である(ウォーキング程度)・12:楽である〜ややきつい・13:ややきつい(妊婦の上限の目安)・14:ややきつい〜きつい(避けたい強度)・15以上:きつい(運動を中止すべき強度) |
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第3章 妊娠初期(〜12週)
── 最もデリケートな時期、無理は厳禁
この時期、母体に何が起きているか
妊娠初期は、赤ちゃんの主要な臓器が形成される非常に大切な時期です。母体ではホルモンバランスが大きく変わり、つわり、頻尿、強い疲労感、眠気、気分の波などのトラブルが起こりやすくなります。
外見からは妊娠の変化があまり目立ちませんが、流産の可能性が他の時期よりも高く、胎児もまだ安定していません。日本臨床スポーツ医学会の妊婦スポーツ安全管理基準では、「妊娠成立後にスポーツを開始する場合は、原則として妊娠12週以降で、妊娠経過に異常がないこと」とされています。
妊娠初期の運動方針
| ▲ 新しく運動を始める場合原則として、妊娠初期(〜12週)には新しい運動プログラムを始めることは推奨されません。安定期(13週以降)まで待ち、必ず主治医の許可を得てから始めてください。 |
| ✓ 妊娠前から運動習慣がある場合コンタクトスポーツや激しい運動を除き、医師と相談しながら様子を見て、加減して継続できる場合があります。ただし、「妊娠前と同じ強度」ではなく、強度を意識的に下げることが重要です。 |
妊娠初期に行ってよい軽い活動
・ウォーキング(無理のない範囲で20〜30分/日)
・階段の上り下りなど、日常生活レベルの活動
・軽いストレッチ(仰向け長時間NG)
・マタニティ専門指導者の元での極軽度のヨガ
この時期に避けるべきこと
・仰向けで長時間になる体勢(子宮が下大静脈を圧迫)
・お腹を強く圧迫する動き、ねじる動き
・ジャンプ、急な方向転換を含む運動
・高温多湿環境(ホットヨガなど)
・つわりがひどい日の運動
ピラティススタジオや産婦人科系メディアの統合見解として、妊娠初期は「もっともデリケートな時期であり、新規にエクササイズを受けることはおすすめできない」というのが標準的な指針です。安定期に入ってから始めることを基本としてください。
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第4章 妊娠中期(13〜27週)
── 安定期、最も運動に適した時期
この時期、母体に何が起きているか
妊娠中期は、いわゆる「安定期」と呼ばれる時期です。つわりが落ち着き、流産のリスクも下がり、お腹もまだそれほど大きくないため、3つの時期の中で最も運動に適しています。
ホルモンの影響で関節や靭帯が緩み始める時期でもあります。これは出産に向けた自然な変化ですが、急な動きや無理な姿勢で関節を痛めやすくなる時期でもあります。
妊娠中期の運動方針
| ✓ 推奨される運動と強度・中強度の有酸素運動を週150分(1日30分×週5回が目安)・心拍数:年齢に応じて125〜150回/分の範囲・ボルグスケール12〜14(やや楽〜ややきつい)・会話テスト:歌は歌えないが、会話はできる程度 |
この時期に推奨される運動の種類
・ウォーキング(30〜45分、毎日でも可)
・マタニティスイミング(水中の浮力で関節への負担が少ない)
・マタニティヨガ(仰向け姿勢を避けるプログラム)
・マタニティピラティス(インストラクター指導下)
・固定式エアロバイク(転倒リスクなし)
・マタニティエアロビクス
マタニティピラティスがおすすめな理由
妊娠中期から後期にかけて、マタニティピラティスは特に効果的とされています。妊娠中期は体調が安定しやすいため、適度な運動を取り入れても問題なく、ピラティス特有の腰痛予防・姿勢改善・体全体のバランス調整が、この時期の体の悩みに非常にマッチします。
ピラティスの中心であるコア(深部筋)の働きは、お腹の中の赤ちゃんを「ハグするように」支える筋肉でもあります。これを目覚めさせておくことで、産前産後を快適に過ごせるだけでなく、出産時の体力にもつながります。
この時期に避けるべきこと
・仰向けで20分以上の長時間姿勢
・お腹を強くねじる動き、強く圧迫する動き
・関節の可動域を超えるストレッチ(緩んでいるため)
・コンタクトスポーツ、転倒リスクの高い運動
・瞬発力を要する激しい動き
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第5章 妊娠後期(28週〜)
── 出産に向けた、体力維持の時期
この時期、母体に何が起きているか
妊娠後期は、お腹が大きくなり、体の重心が変化します。バランスを取ることが難しくなり、転倒リスクも高まります。日常生活の動作だけでも疲れやすくなる時期です。
一方で、出産時には大きな体力を必要とします。筋力を維持し、体を動かせる範囲で動かしておくことは、出産に向けた重要な準備になります。
妊娠後期の運動方針
| ✓ この時期の運動の考え方「鍛える」ではなく「維持する」「強度を上げる」ではなく「動き続ける」中期と同じ強度を続けようとせず、体調に合わせて適宜下げる週150分の目安はそのままだが、1回あたりの時間を短く(10〜15分×複数回)に分けてもよい |
妊娠後期に推奨される運動
・無理のないウォーキング(20〜30分/日)
・マタニティヨガ・ピラティス(仰向けを避けるプログラム)
・骨盤底筋トレーニング(出産・産後尿漏れ予防)
・自宅でできるストレッチ
・水中ウォーキング(浮力で楽に動ける)
骨盤底筋トレーニングが、特に重要
妊娠後期になると、子宮の重さが骨盤底筋に大きな負担をかけます。この時期から、出産そのものや産後の尿漏れ予防のために、骨盤底筋を意識的に動かすトレーニングが推奨されます。
座った状態や横向きの姿勢で、深い呼吸とともに骨盤底筋を「キュッと締めて、ゆっくり緩める」を繰り返す簡単な動きから始められます。専門の指導者の元で行うのが理想的です。
この時期に避けるべきこと
・仰向けの長時間姿勢(仰臥位低血圧症候群のリスク)
・お腹を圧迫するすべての動き
・バランスを崩しやすい動き、片足立ち系
・階段の急ぎ足、滑りやすい場所での運動
・疲労を感じてからも続ける運動
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第6章 運動を中止すべきサイン
── すべての時期に共通する警告
妊娠中の運動は、母子の安全が最優先です。次のような症状が運動中・運動後に現れた場合は、ただちに運動を中止し、医療機関に連絡してください。
| ▲ ただちに運動を中止すべき症状・性器出血、または茶色いおりもの・規則的な、または持続する腹痛・お腹の張り・破水を疑う水様の分泌物・強いめまい、ふらつき、失神感・息切れが治らない、胸痛・頭痛が引かない、視力の異常・ふくらはぎの片側だけの腫れ・痛み(血栓のサイン)・胎動が普段より明らかに少ない(中期以降) |
運動を始められない・中断すべき方
以下のような既往・症状がある方は、妊娠中の運動を行わないか、必ず主治医の指示を受けてください。
・重篤な心疾患・呼吸器疾患
・頸管無力症(子宮頸管縫縮術を受けた方)
・持続する性器出血
・前置胎盤・低置胎盤
・前期破水
・切迫流早産
・妊娠高血圧症候群
・重症の貧血
・多胎妊娠(双子・三つ子)
・コントロール不良の甲状腺疾患・1型糖尿病
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第7章 毎日の運動を、安全に続けるために
── 実践的なアドバイス
運動前のチェックリスト
・体調はいつもと変わらないか
・食後すぐ、または空腹時ではないか(食後1時間以上空ける)
・水分補給の準備はあるか(運動前・中・後)
・室温は適切か(暑すぎず、湿度が高すぎないか)
・動きやすく、お腹を圧迫しない服装か
・滑りにくい靴/滑り止めのあるマットか
水分補給は、いつもの2倍意識する
妊娠中は、妊娠前より多くの水分を体が必要としています。さらに、赤ちゃんはお母さんの体内で「発汗」できないため、お母さんよりも何倍も体温が高くなりやすいと言われています。運動の30分前にコップ1杯、運動中も10〜15分ごとに少しずつ、運動後にもう1杯──これを意識してください。
「やりすぎていないか」を見極める3つの基準
| ▲ こんな状態は、強度を下げるサイン・運動中に会話ができないほど息切れする・運動後の疲労が翌日まで残る・運動後にお腹の張りや違和感が出る |
継続のコツ
妊娠中の運動は、「続けること」自体に意味があります。週1回1時間より、毎日10分の方が、母体・胎児への負担も少なく、効果も持続します。
ウォーキング、ストレッチ、骨盤底筋トレーニングは、特別な道具なしで毎日続けられます。これに加えて、週1〜2回のマタニティヨガまたはマタニティピラティスを組み合わせると、バランスの取れた運動習慣になります。
おわりに
妊娠中の運動は、「やってもいい」のではなく、合併症のない方であれば「やった方がいい」というのが、現代医学の標準的な見解です。
ただし、その強度と種類は、妊娠初期・中期・後期で大きく異なります。本レポートでお伝えした内容を、ぜひ目安としてご活用ください。
ALTERR BODY MAINTENANCE ROOMでは、妊娠中・産後のお体を整えるためのマシンピラティスや、ストレッチ整体のメニューをご用意しております。妊娠中の方には、医師の許可を得たうえで、安定期以降の中強度プログラムを丁寧にご案内します。
また、産後はホルモン変化と授乳・育児による体の負担で、姿勢が崩れたり、体型が戻りにくくなったりする時期です。「鍛える」ではなく「整える」というALTERRの哲学は、まさに産前産後のお母さんに最も必要なアプローチだと考えています。
妊娠中・産後のことで運動についてご不安があれば、いつでもALTERRスタッフまでお気軽にお声がけください。お一人おひとりに合わせて、安全で効果的なメニューをご提案します。
お母さんと赤ちゃんの健康な毎日を、心から願っています。
ALTERR の 3 つの柱
◆ 加圧トレーニング × マシンピラティス
短時間で効率よく、成長ホルモンを高めながら。
◆ 食生活の改善
三食食べながら痩せる、リバウンドしない食事指導。
◆ ストレッチ × 姿勢矯正
整え、伸ばし、本来の体に戻していく。
参考文献
・American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). (2020) Committee Opinion No. 804: Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period.
・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会編 (2023) 産婦人科診療ガイドライン 産科編 2023. https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf
・日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会 (2005) 妊婦スポーツの安全管理基準. 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol.13 Suppl.
・World Health Organization (WHO). Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour for Pregnant and Postpartum Women.
・Canadian Society for Exercise Physiology. Canadian Guideline for Physical Activity throughout Pregnancy.
・厚生労働省研究班 (2024) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド:ライフステージ別 妊娠中および産後の身体活動.
・Connolly CP et al. (2023) Perception and reality: The mismatch between absolute and relative physical activity intensity during pregnancy and postpartum in United States women. PMC11079917.
・冬城産婦人科医院 (世田谷区) 妊娠中の運動・スポーツについて.
・torch clinic (渋谷区) 妊娠初期は運動してもいい?妊娠中にできる運動と注意点.
・東邦大学医療センター大森病院 産婦人科 雅の徒然日記 - 妊娠中のエクササイズについて.
