壁にもたれて座るだけ、で血圧が下がる?|今週話題の研究を読んで

先日、海外のニュースで「壁スクワットで血圧が下がる」という研究の紹介を読んで、思わず手を止めました。イギリスの研究チームによるランダム化比較試験で、2026年9月29日にBMJ Open Sport & Exercise Medicineという医学誌に掲載されたものです。壁にもたれて膝を曲げた姿勢を保つだけの、動かない運動が血圧に効くという話で、正直、最初は半信半疑でした。

研究では、降圧薬を使っていない成人54人を、運動をするグループ27人と普段どおりに過ごすグループ27人に分けました。参加者は平均36.7歳で、収縮期血圧が120から159mmHg、拡張期血圧が100mmHg未満の人たちです。運動の内容は、膝の角度を95度に保った壁スクワットを2分間、間に2分間の休憩をはさんで4回行うもので、最初の4週間は週3回実施しました。その結果、4週間の時点で、運動をしたグループはしなかったグループと比べて収縮期血圧が平均9.45mmHg、拡張期血圧が5.47mmHg低くなっていました。さらにその後の4週間、週3回・週2回・週1回と頻度を分けて続けてもらったところ、8週間の時点で収縮期血圧は週3回続けた人で13.73mmHg、週2回で6.95mmHg、週1回でも6.56mmHg下がっていました。しかも、4週間で運動をやめた人でも、収縮期血圧は対照群より低いままだったそうです。

ふと、現場でも同じことを感じるんですよね。スタジオに来られる方の中には、「走るのは苦手だけど、身体は動かしたい」という方が少なくありません。動かない運動なら、膝や腰への負担を抑えながら、筋肉にじんわりと負荷をかけられます。しかもこの研究では、週1回でも効果が維持されたとされていて、「毎日やらなければ意味がない」というわけではないところが、続けるうえでは大きいなと思います。ただ、これはあくまで54人という小さな規模の研究で、対象も降圧薬を使っていない比較的軽めの血圧の人たちです。数字の大きさだけを見て「これで血圧が治る」と受け取るのは早計ですし、そういう受け取り方はしたくありません。

今日から意識できることとしては、まず血圧を測る習慣がある方は、ご自身の数値を知っておくことです。そのうえで、壁スクワットを試すなら、壁に背中をつけて膝を軽く曲げ、無理のない角度と時間から始めてみてください。研究では膝95度・2分×4回でしたが、最初から同じ回数を目指す必要はありません。30秒でも、1分でも、きつくない範囲で止めることが大切です。呼吸を止めず、膝や腰に痛みが出たらすぐにやめる。地味な話ですが、こういう地味な積み重ねが結局いちばん効く気がします。

注意点として、血圧の薬を飲んでいる方は、運動を始める前に主治医に相談してください。薬を自己判断でやめたり減らしたりしてはいけません。膝や腰に不安がある方、めまいや胸の痛みがある方も、まずは医療機関で相談するのが安心です。動かない運動は手軽に見えますが、血圧が高い状態で力むと負担がかかることもあります。体調がすぐれない日は無理をしないでください。

ALTERR Body Mainte Roomでは、血圧の数値だけでなく、実際の姿勢や動き、生活習慣まで確認します。無理のない運動を、その方の身体に合わせて一緒に見つけていくことが、10年後、20年後も自分の足で動ける身体へつながると考えています。
鍛える。整える。動ける身体へ。
カウンセリング&体験 60分 3,980円(税込)